出光冠協賛20周年記念大会となる今回は、特筆すべき良いことがたくさんあります。
まず、一昨年の30回大会に、ニュージーランドから特別ゲストとして招待したオリバーファミリーの、いちばん若い二人が自費で参加してくれることです。
ファミリーの中でもっともテクニックがあり、今年初めに現地スコルパ・インポーター契約ライダーとなったニック(19)と、前回は免許年齢に達していなかったため、デモ見習いライダーだったピーター(16)です。
ニックは昨年、Aグレード(上から二番目のレベル)チャンプとなり、今年は最上級のエキスパートクラスに昇格して活躍し、早くもオセアニア・ユースチャンプを決めています。ピーターも昨年、南島中級チャンプとなって、今年はAグレードに昇格して活躍中で、二人とも今が一番伸び盛りでどんどんうまくなっています。
昨年の秋に、スティーブンが電話でこんなことを言いました。「じつはNZ版のイーハトーブトライアル開催を計画中なんだ。そしてニックと二人で考えた結果、ニックはSSDTも世界選手権も目指さないことにした。NZチャンプは目指すけどね。その代わり、また出光イーハトーブトライアルに参加することにしたよ。そのほうがニックのためにも、今のNZトライアル界にとっても有意義だと考えたんだ。」
その言葉は、私にとって少々驚きでした。しかし、現役時代に華々しい活躍の実績を持ち、だれよりも深くトライアルを理解し、高い見識を持っているスティーブンです。その彼が世界最高峰のSSDTと比べた結果、出光イーハトーブトライアルのほうがいまのニックには重要だと判断したことは、私にとって感慨深いものがありました。
いうまでもなく、SSDTは世界一過酷であると同時に素晴らしいトライアルです。しかし、私たちの出光イーハトーブトライアルもまた、32年の間に、独自のスタイル、価値観、そして世界に与えるいくらかの影響力を持つに至ったということなのです。そして、それが現在のオリバーファミリーと、NZのトライアル環境にとって、何らかの良い作用をもたらすことは、私だけでなく出光イーハトーブトライアル関係者すべてにとって、このうえない喜びです。
今回、日本のトップライダーたちとともに走ることで、ニックとピーターがまた一段と成長してくれることを期待しています。